細長い敷地で心地良いわが家と夢の開業を叶える

この界隈で育ったOさんは、この街に家族と暮らしながら、手作りのドーナツ屋を開業したいという2つの夢があった。空き地が少ない住宅地でようやく見つけた敷地は細長く、制限があるように思えたが、2方向からのアクセス可能であったので、店舗併用住宅には適していると考え敷地として進めた。道路からよく見える東側にチャーミングなお店の顔を設けて、通学路で落ち着きのある西側が住宅の玄関となっている。敷地形状や予算から住宅の大きさはコンパクトだが、広々とした家族の空間を実現させるために吹抜を南側に通し、さらにシナ合板貼りの手摺壁を水平方向に軽やかに連続させることで、面積以上に広がりを感じられるように工夫。吹抜の勾配天井は各個室の入り口上に設けた欄間を通じて2階に均質に配置した各個室内の天井へつながり、どこにいても家族の気配を感じられ、ひとつ屋根の下に暮らす安心感がある。