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2022/10/31

風通しの良い自然素材の家

自然と共生する伝統工法による省エネの家づくり

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芦北産の木を使い、壁には土壁漆喰を使用

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伝統構法と山の木の産直は相性が良い。曲がり 木は小屋梁に使えばよいし、規格にのらない長さ の材でも妥当な値段でオーダーできる

​■プロフィール

1947年生まれ

1971年 熊本大学工学部土木工学科卒業 1994年すまい塾古川設計室有限会社設立
2019年 第9回日本建築防災協会理事長賞
2005年 第2回、2009年第6回、2014年第10回 木の建築賞 2014年BA年間大賞 住宅実績/木造新築200棟、民家再生30棟 設計監理料/総工事費の8~12%

ARCHITECT

古川 保 Tamotsu Furukawa

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床は浸水対策として1mあげているが、これ以上は生活に支障をきたす

すまい塾古川設計室 有限会社

築100年の土造蔵を事務所にしています。

木材や土壁の 利点・欠点を熟知しているつもりです

【所在地】〒861-4115 熊本市南区川尻4-10-5

【TEL】096-357-0973

【FAX】096-357-0973 

【URL】http://www.sumai-f.com/

【Mail】sumai-hurukawa@basil.ocn.ne.jp

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施主の要望に合わせて大工工事と建具工事で造作する。家具は修繕が伴うので、 地域の職人が地域の材料でつくることがメンテナンスの面でも重要である

 ▶設計のポイント 

熊本地震では避難時に交通渋滞が発生。また、広大な熊本平野で浸水被害が広範囲にわたることを想像 すれば、避難は尚更困難となります。そこで施主は、自分の家で避難する道を選び、浸水時には保険対 象外のものを素早く小屋裏へ移動させ、自分たちは避難窓から入母屋屋根へ出て、棟に上がり救援旗を振って救助を待つ。小屋裏には、水害時に使用するライフジャケットを備えておくそうです。

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全開放の木製家具を開ければ、屋外と屋内が一体となる

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開放的 な間取り。季節や用途に応じて、空間を使い分ける。夏は建具を開放して広く住まい、冬は閉じて小さく住まう

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長い軒庇は、建物を風雨から守り、夏の日射を遮る。軒下の木製建具は、ガラス戸、格子網戸、障子戸の多層構成で、季節に応じて使い分ける

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床下を開放し風通しを良くして白蟻がつきにくい環境とする。また、設備配管が露出のため、メンテナンス点検が容易である。水害時には、土砂出しも容易にできる

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避難窓

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外壁は下見板をデッキビス留めとし、水害後は取り外して乾燥後、再利用が可能である

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土と竹と藁と砂で壁をつくる。土壁は下地材であり、吸湿材であり、構造材であ る。少しの欠点といえば断熱性能が無いことだが、別の断熱材で補えばよい

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木材は芦北の山からの産直材である。施主と山に入り、伐採作業を見学することで、自分の家の木材がどこから来ているのか、誰が育てているのかを知る

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土と竹と藁と砂で壁をつくる。土壁は下地材であり、吸湿材であり、構造材である。少しの欠点といえば断熱性能が無いことだが、別の断熱材で補えばよい

熊本の気候風土にあった住宅の考え方

日本は自然から享受するものが多い。しかし逆に自然の逆襲を受ける。地震、雷、火山噴火、火砕流、大雨、液状化、灼熱、高湿、土砂崩れ、土石流、氾濫、津波、台風、高潮などである。全ての災害に対応すると、潜水艦みたいな建物になって、逆に住みにくくなる。

日本は自然に対抗するのではなく、自然と共生する道を選んだ。 つまり、ある程度の被害は許容し、 修繕しやすいことを重要視した。台風常習地の九州に瓦が多いのは修繕が早いからだ。壁は、柱と梁に 壁仕上げ材を一面に貼る大壁ではなく、手間がかかる真壁造を採用している。非合理に思える真壁造が、修繕を考えると合理的なことを熊本地震で学んだ人も多いはず。今、大壁対応に都合が良い高断熱・高気密仕様を省エネ法は勧める。それでは日本の建築文化がすたれてしまうと「気候風土適応住宅」が生まれた。曲がった木は梁に使い、アテが多い部分は足固めに使い、適材適所で、自然との共 生で省エネを図る家づくりだ。

日本の資源を使って被害を想定して造る

敷地の海抜は2m。熊本市のハザードマップによると3mの浸水地域であるが、施主は住み慣れたこの場所にまた住むことを望んだ。浸水被害の可能性を受け入れて、万が一の逃げ道や、土砂出しのしやすさ、外壁板の外し、真壁の部分修繕の容易さを選んだ。

敷地には南西から海風がやってくる。大きな窓、地窓、無双窓、高窓、欄間を介し、風は家を通リ抜け、夏の間はエアコンはほとんど要らない。

この家の建築材料は、木・土・竹・ 藁・紙で、瓦も元は土である。瓦・設備機器以外は全て熊本県で揃う。このことで熊本経済も潤い、さらに、これらの建材は無限資源で枯 渇はない。石油は百年で、ウランも二百年後にはなくなる。レアメタルもいずれなくなる。木・土・竹・藁・紙を建築資源と考えると日本は資源大国なのだ。

この家は地下資源に頼らず地元 の木材を使い、1 次産業を大事にして、ゴミにならない自然素材で、孫の代まで住み続ける家だと思う。

 House Data 

熊本市南区B様邸(家族3人)

【敷地面積】約289.1坪 【延床面積】約29.2坪

【工法】伝統工法(石破立て)

【設計期間】約7ヶ月 【工事期間】約10ヶ月

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