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安心の住まいのために

家づくり講座 01

耐震・制震・免震とは【前編】

これまで何度も大きな地震を経験してきた日本ですが、いつ大地震が起こるかはまだ予想が難しいのが現状です。そんな中、住まいの地震対策の選択肢が増えています。構造自体でより住まいを強くする「耐震」。装置により揺れの影響を減らす「制震」や「免震」。費用や効果を検討しながら、安心して住み続けられる地震への備えを選びましょう。

建物を強固にして地震に耐える耐震構造と、揺れを逃がす制震・免震の仕組み

東日本大震災以降、どの工務店・ハウスメーカーも地震対策に力を入れています。ここでは、最近よく耳にする耐震・制震・免震の違いや特徴について分かりやすく解説します。

耐震基準の考え方

建物の安全性を守るため、建築基準法(※)では構造強度に関しても一定の基準を設定しています。耐震性に関しては、震災の経験を踏まえ改訂されてきました。

建築基準法を守れば、震度6強でも倒れない家に

現在の建築基準法では、度々経験する可能性が高い震度5弱相当の地震では建物の損傷がなく生活でき、まれに起こる震度6強相当一回の地震では建物は損傷しても倒壊することなく人の命を守れることと定められています。新築の場合は基準を守らないと建築が認められませんが、まずは違法建築にしないことが、耐震性を確保するスタートラインとなります。平成12年に制定された品確法(※)では、施主が耐震性を判断する目安となるよう3段階の耐震等級が示されました。

耐震・制震・免震の違い

耐震は壁や柱などの構造そのものを強化し、建物全体で振動エネルギーを受け止め、地震力に耐える方法。制震は振動を軽減する装置を壁や柱、屋上に取り付け、建物の揺れを制御する方法。免震は地面と建物の間の振動エネルギーを免震装置が吸収し、建物の揺れを軽減する方法です。

 

地震に強いに越したことはありませんが、予算や利便性、災害への備えのバランスが大事です。

従来の構造・工法を生かし、より強い住宅をつくる「耐震」

耐震とは、骨組み自体や筋交い、補強金物を使用することで建物を強化、地震の揺れに対して耐えるという構造のことです。阪神大震災以降、実物大の振動実験が行われるようになり、耐震技術は改善されました。現在では建築基準法が定める耐震レベルの1.5倍ほどの強度は対応可能で、そのレベルを目標にすべきだという考えが主流になっています。品確法の耐震等級では、等級3がほぼ建築基準法の1.5倍の強度で、新築するなら等級3を目安にするのをおすすめします。

装置により揺れを吸収する「制震」。比較的割安でメンテナンス不要

制振とは、建物に伝わった揺れを内部で和らげる技術のこと。地震の揺れは建物へそのまま伝わりますが、建物内部に設置した揺れを軽減する装置(ダンパー)により振動を吸収していきます。余震など繰り返し地震が起こっても効果が失われることがなく、メンテナンス費用もかからないといわれています。敷地条件や地盤の制約が比較的少なく、中小地震から大地震までの揺れに効果が認められ、内外装材の損傷も軽減します。ハウスメーカーなどでは、自社の住宅向けに独自の製品を開発しているところも。コストは一般的な住宅の場合、一棟あたり50万円〜100万円以下程度です。

大地震に効果的な「免震」。その分装置は大がかり

免震とは、地震が起こった時建物へ伝わる力自体を減らす方法のことです。室内の損傷を最小限に抑えることができます。建物の下に免震装置を設置しますが、地盤と建物が一緒に動かないようにして、揺れを逃がしています。ただし、その分装置が大がかりになり、初期費用もかかります。また、定期点検を行なって正常に作動するかチェックする必要があります。現在、ハウスメーカーなどで油圧ダンパーや鉄球を使用した独自のシステムが開発されています。

品確法の耐震等級の目安

数百年に一度発生する地震(震度6強から7)の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(震度5相当)に対して損傷しない。一般住宅の基準。

等級1

等級1の地震力の1.25倍に対抗できる。学校や体育館など避難場所になる建物の基準。

等級2

等級1の地震力の1.5倍に対抗できる。病院や消防署など災害時に拠点となる建物の基準。

等級3

耐震・制震・免震の特徴

揺れの影響は受けるが、建物の強度を強くして地震の揺れに持ちこたえるようにする。

 

●地震の水平力に対しては、耐力壁などの面を強くする必要がある。

●家具や人の転倒、内装が損傷する場合がある

耐震

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壁などに揺れを吸収する制震装置を取り付け、伝わった揺れを建物内で緩和する。

 

●中小地震、強風にも効果を発揮。

 特に上階の家具が転倒するのを防ぐのに大きな効果がある。

●壁がパネル化されるなどしており、設置もしやすい。メンテナンスも不要

制震

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建物の床下に免震装置を設置。地震の揺れが建物に伝わるのを緩和する。

 

●大地震や、家具の転倒を防ぐのにも効果がある。

 特別な装置が必要で、取り付けは形の整った建物で可能になる。

●一般的に定期点検が必要でコストもかかる

免震

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